近未来系SFドラマシリーズ「ブラック・ミラー」がとにかくおもしろい

chicurry

■はじめに

皆さまはNetflixで配信されている「ブラック・ミラー」をご覧になられたことがありますでしょうか。私は数年前に友人に紹介してもらい知ることとなったのですが、海外ドラマでダントツに面白いシリーズと思っています。「イギリス版世にも奇妙な物語」と表現され、その独特な設定や雰囲気、話の展開にとても魅了されます。約1時間の一話完結で、サクッと見られるのですが、ストーリー構成がしっかりしており、非常に見ごたえのある映画のような作りになっています。

基本的にはテクノロジーが進化した近未来が舞台となっており、便利になった世の中で、人々が追い求めた便利なシステムやデバイスがもたらす、社会問題や精神的な負担が皮肉っぽく描かれております。見た後には、私たちが望んでいるような豊かな人類の生活の先には本当に幸せが待っているのか?と考えさせられる、ゾクッとするエピソードも豊富です。

2011年から始まったこのシリーズは直近2019年で5シーズン目。全22話がNetflixで配信されています。作品の素晴らしさにはかなり濃淡があり、中には“グロすぎる”“後味が悪すぎる”ためかなりテレビ放映向けではないものもあります。

今回は個人的に印象深い作品、この作品は特に良かったな~面白かったな~と感じた作品をランキング形式で語らせていただきます。ざっくりとしたあらすじと、ネタばれにならないような感想を添えております。独特な設定や世界観の一部でも伝えたいと思い記事を書きますが、是非続きはNetflixでチェックいただきたいです。作品について知るきっかけとしていただけますと幸いです。

 

■第3位『HANG THE  DJ』(シーズン4)

~あらすじ~

99.8%の確率で、運命の相手と引き合わせてくれるというマッチングシステム「コーチ」を利用する主人公フランク。このシステムは運命の相手とマッチングされるまでの間、様々な人々とのデートのプランから交際期間まで全てプログラムされており、登録者はプログラムに従って時間を過ごすことを強いられている。

フランクがシステム利用開始して初めての夜、デートをセッティングされたのはエイミーという魅力的な女性であった。互いに好印象であったが、交際時間はわずか12時間。翌朝には惜しみつつも別れるのであった。

あまりの短さに疑問を抱く2人であったが、システムに従い、選ばれた相手との交際を繰り返すことにより運命の相手が選出されると説得され、その後も2人は互いにプログラムに従ってデート、交際を重ねる。気に入らない相手でも交際期間の終了が来るまでは別れることができない。ただ終了期間を待つような交際のシステムに疑問を持ち始めた頃、2人は再びマッチングされるのであった。

決められた交際期間に嫌気がさした2人は、今回は交際期間を確認せずに過ごすことを約束する。幸せに暮らす2人であったが、エイミーを愛おしく思うがゆえに終わりが気になるフランクは、我慢できずについ1人でこっそり交際期間を確認してしまう。その時、5年あった残りの交際期間が、急に20時間に変わってしまう。動揺するフランクに気がついたエイミーは問い詰め、事実を知ることとなる。約束を破ったフランクを許せず、タイムリミットを迎えてしまう。

その後も様々な人との交際を重ねる2人であったが、そんなある日、ついにエイミーのもとに「運命の相手が見つかった」と通知が来る。複雑な気持ちを持つエイミーに、システムから1つのルールを告げられる。それは、運命の相手とのペアリングの前に1人だけ希望の相手に会うことが出来るというものであった。そして最後にフランクと再会することとなる。

 

~感想~

こちらの作品は、最後の最後の種明かしもとても爽快。あ、そういうことか!そういう設定か!と納得させられるというか、ゾクっとさせられる部分があり、98.8%に込められた意味が明らかになります。独特の設定による“ブラック・ミラーらしさ”はしっかりと残しつつも、“後味悪め”の終わり方が多いシリーズの中では珍しく、ロマンチックな終わり方になっていて、シンプルに素敵なラブストーリーです。

また、現代のマッチングアプリの超進化版のようなサービスがテーマとなっていたため、リアルに物語の世界に入り込むことが出来ました。

運命の相手を見つけ出すということの難しさ、可能性の低さという点も考えさせられるところがあります。順調なカップルや夫婦で見ると、より相手を大切にしようと愛しく思えるかもしれません。

シリーズとしては、進化したテクノロジーを皮肉った作品が多いですが、こちらの作品はその中でも人間らしさを忘れずに、AIの力だけでは解明できないことがある、と証明してくれる、そんな心温まる作品でした。

 

■第2位『宇宙船カリスタ―号』(シーズン4)

~あらすじ~

完全没入型VRゲーム(※1)「インフィニティ」を開発するカリスタ―社の開発者である主人公デイリーはCTO(最高技術責任者)という肩書を持ちながらも、さえない容姿と内向的な性格で部下たちから見下されていた。

(※1)完全にゲームの世界に入り込んで、ゲーム世界の中の主人公になりきってプレーすることが出来るもの。

そんなデイリーのストレス発散法が、自宅に帰ってVRゲームの世界に逃避してプレーを楽しむことであった。しかしそのVRゲームは自分専用にカスタマイズされた仕様となっている。VRゲームの設定は宇宙船で、船長はデイリー。そして、現実社会で自分を馬鹿にした社員たちのDNAをゲームに読み込ませてクローンを生成し、乗組員として言いなりにさせていたのだ。

ある日、現実社会の方では、デイリーを尊敬しているというナネットという女性社員が入社してくる。技術者としてデイリーを慕っていたナネットであったが、勘違いしたデイリ―は異性として好意を示すようになる。他の社員からデイリーとは親しくしない方がよいとアドバイスを受けたナネットはデイリーを避けるようになる。そんなナネットの態度に怒ったデイリーはナネットのDNAを採取しVRゲームに読み込ませるのであった。

クローンとしてのナネットは宇宙船の中に閉じ込められたこと、デイリーの言いなりになっていることに反発し、脱出を企てることとなる。脱出のカギとなるのは船長のデイリーが持っているオムニコーダーという機器で、現実社会と連絡を取れるデバイスである。ナネットはこのデバイスを通して、現実社会の自分にメッセ―ジを送る。一筋縄ではいかないが、現実社会の自分と協力しながら計画を進め、宇宙の中にあるワームホールに飛び込んで脱出するために試行錯誤するのであった。

 

~感想~

こちらの作品もまた巧妙な設定がとっても面白く、ブラック・ミラーらしさはありましたが、一方でタッチとしてはとてもコミカルで気楽に見られる、お笑い要素もある作品でした。

現実社会で溜めこんだストレスを、VRの世界で自分の都合の良いようにクローンに対して発散する主人公の様がとても情けないです。現実社会ではだれにも相手にされないため、せめてゲームの世界では自己主張をしたい、恨みを晴らしたい、そんな主人公の姿は、現代でも隠れてネットで悪口を言いまくる人がいますよね、そのような人と重なる部分がありました。

劇中のゲーム「インフィニティ」に生成されたクローンについては、かなりポップに描かれていますが、辛く非人道手な印象を受けました。自身は人間としての意識や感情があり、突然ゲームの世界に閉じ込められ、一生出られないのですから。その様を見ていると、クローン技術についても違和感というか、疑問を抱きました。本物から複製されたクローンは、何らかの都合、利害目的で生成されますが、本物と同じ思考や感情を持って生まれます。何も自身はクローンだから本物のために犠牲になろうとか、そのような意志を備え付けられているわけではないことを認識すると、人間の都合だけでクローン技術を進歩させることについては恐ろしさすら感じました。

と、いろいろな視点で考えさせられるものですが、総じて軽いタッチの作品ですし、無難におもしろいです。終わり方も爽快でスカッとするので、後味の悪さなど一切ございません。

こちらは脚本賞・テレビ映画賞・編集賞・音楽編集賞の4部門でエミー賞を受賞しております。ブラック・ミラーのシリーズの中でも人気、評価が高いものになっており、あまり好き嫌いなく、万人が楽しめる内容になっていると思います。

 

■第1位『サン・ジュ二ペロ』(シーズン3)

~あらすじ~

舞台は1987年、架空の海辺の街サン・ジュ二ペロ。流行りには疎そうな冴えない外見の内気なヨーキーと、クラブのフロアーで注目の的になっている社交的なケリーは、正反対の外見・性格を持ちながらも同性同士熱烈に惹かれ合う。

しかし、サン・ジュ二ペロで過ごすことができる時間は永続的ではない。毎週金曜日、深夜0時になると1週間後に時間が飛ぶようになっている。「もう時間がない」「サン・ジュ二ペロはなんでもできる場所」このようセリフの端々が気になって見進めていると、驚きの設定が明らかになる。

サン・ジュ二ペロは、死んだ人もしくは死の瀬戸際にいる人々の魂がアップロードされるクルド上の仮想空間であったのだ。

現実世界では交通事故により昏睡状態にあるヨーキーと、娘・夫に先立たれ、末期がんを宣告されたケリー。

サン・ジュ二ペロを訪れる彼女たちは、死後もクラウド上で生き続けるサン・ジュ二ペロの住人になるか、生物の性に逆らわずに死んでいくのか選ぶことが出来る。ヨーキーは住人になり、ケリーとの幸せな“死後の生活”を望む一方、天国に愛する娘・夫がいるケリーは「サン・ジュ二ペロは現実ではない」と冷たくヨーキーを突き放すのであった。果たして2人が出す結末とは。

 

~感想~

独特な設定が演出する世界観に魅了され、“生きる”ということの定義とは何か、と考えさせられる作品です。テクノロジーが進化した世界だからこそ、より人間の心の動きがリアルに引き立てられ、切なさや温かさを感じることができます。一言でいうととにかく“美しい”作品で、名作中の名作と個人的には感じております。

序盤でシンプルに惹かれ合う主人公2人が描かれているからこそ、途中から前提となる設定が明らかになった時の切なさが際立ちます。

ブラック・ミラーには珍しい心温まるラブロマンスで、評価も高いこの作品は、エミー賞のテレビムービー作品賞と脚本賞をダブル受賞しております。

劇中歌として起用されているのが、誰もが聞いたことがある「heaven is a place on earth」で、その明るい曲調で作品の素敵さを引き立てています。この作品を見た後はこの曲にハマり、何度も聞いてしまいました。

個人的にはこちらの作品は万人受けだと思います。ブラック・ミラーの世界観が苦手、、、という方でもこちらの作品であれば楽しめる、文句なしの1位とさせていただきます。

 

■最後に

いざランキングをつけようとすると、ブラック・ミラー色が強すぎるものよりも、心温まる作品が上位を占めてしまいました。個人的に印象深い作品という視点では上記のランキングとなりましたが、その他の作品も本当に面白くて、“好み”という視点で考えるとまた悩ましいくらい世界観に魅了されます。おそらく見る人によってかなり個々の作品の好き嫌いも分かれると思います。

本記事を読んでいただいた方には、「ブラック・ミラー」の独特の設定や雰囲気がお分かりになられたかと思います。シリーズを通してどれも見ごたえのある作品ばかりで、1時間という短い時間ですが、1本見終わった後はヘビーな映画を見終わったような余韻が残る程です。

空いた時間、映画を見る時間はないけれども何かおもしろいものないかな~というタイミングにオススメです。個人的に周囲の人にたくさん紹介してきましたが、現時点では100%の割合で高評価を得ております。ただ、シーズン1のエピソード1が『国歌』という作品なのですが、かなりヘビーでグロテスクですので、違う作品から見始めることを推奨します。

是非ステイホーム習慣のお供にいかがでしょうか。

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