天満という飲み屋街について

mst

はじめに

大阪には「天満」という街がある。

大阪の中でも有名な飲屋街のひとつだ。

昭和ながらの老舗の有名店もたくさんあれば、若者向けのバルもたくさんある。

 

JR大阪駅から環状線で1駅というアクセスの良さ。

大阪メトロ扇町駅からも徒歩で行くことができる。

 

大阪の酒好きの人間は、天満が好きである。

私を含めて。

 

なぜ天満は人を魅了するのであろうか。

 

天満駅との出会い

大学生の頃は京都で過ごしており、大阪の飲屋街についての知識はあまりなかった。

飲み屋といっても、チェーン店かご飯屋さんかカフェでお酒を飲めるところしか知らなかったのだ。

 

私が天満に初めて行ったのは20代前半の頃である。

サークルの先輩と飲む際に、「今日は天満でええか?」と聞かれて、天満に興味があった私は「天満がいいです!」と即答した。

連れて行ってもらった天満は、「ゴチャゴチャ」していた。

その印象は今でも変わっていない。

いい意味で「ゴチャゴチャ」しているのである。

飲み屋さんがひしめき合っていて、どこに行くか決めていなければ迷ってしまい、時間がかかりそうな「ゴチャゴチャ」さだ。

 

その時はクラフトビールのお店に連れて行ってもらい、天満で飲んでいるという自分に浮かれていた憶えがある。そして浮かれていた私は見事に終電を逃し、タクシーで帰ったこともよく覚えている。

 

それから、そのサークルの先輩たちと頻繁に天満に行くようになった。

癖のないお店もあれば、めちゃくちゃ癖のあるお店もある。

先輩たちが連れて行ってくれたのは、めちゃくちゃに癖のあるお店ばかりだった。

その癖のあるお店に私は魅了されていった。

 

例えば、立ち飲みなのだが、3人以上の来店は不可、大きな声で騒がない、もちろん禁煙、キャッシュオンリー、1万札お断り、店主が機嫌を損ねると店は閉まる、というお店もあった。他にもお店自体は禁煙なのだが、店主がタバコを店内で吸っているところもあった。

 

「今日はどこに行くんだろう」という好奇心が私を天満に導いた。

 

お酒の飲み方

天満で飲むようになってから、私はお酒の飲み方を覚えたような気がする。

どうやって人を誘うのか、どうやって店を決めるのか、どういった飲み方をするのか、2軒目はどういったお店にするのか、終電は無視するのかしないのか、など。

いろいろと勉強をさせてもらった。

 

他にも、お店で会った人と喋るということも、天満で飲むようになってからである。

今までの私だったら、店で一緒にいる他の人と喋るということは絶対なかったが、そのサークルの先輩がよく人に絡むタイプの人間だったので、必然的に私も喋らなければならない状況であった。

連絡先こそ交換しないものの、飲み屋さんで会ったら、世間話などをしたりする。こういう関係性も悪いことではないな、と思った。

 

前述した通り、サークルの先輩がよく人に絡むタイプの人間だったので、店主の人ともよく喋るようになった。それも世間話程度なのだが、世間話でも気が紛れることがあったりする。そして店主の人と喋るようになると、たまにサービスをくれるようになるということも覚えた。

 

天満の魅力

天満はその「ゴチャゴチャさ」が良いと思っている。

静かに飲みたい時はここ、友達といっぱい喋りたい時はここ、おいしいものを食べたい時はここ、お酒をいっぱい飲みたい時はここ、昼から飲みたい時はここ、というような店の使い分けができることがいいと思っている。それがひとつの街で済むのである。なんと便利なんだろうか。

 

あとは、人情で溢れているお店が多いことも魅力のひとつだ。天満に通い出してから、人情に触れることが度々あった。

例えば私が結婚し、「結婚したんですよ!」と馴染みのお店の人に言うと、ドリンクが無料になることが多々あった。ドリンクを無料にしたいわけではなく、ただ報告として言っただけなのにな…と思っていると、先輩に「お店の人の好意は素直に受け取っておくもんや」と言われて、申し訳ないと思いつつも、そのお店の人の粋なはからいにとても幸せな気持ちになった憶えがある。

 

また、私は生まれも育ちも大阪なのだが、「大阪っぽくない」と昔から言われており、それが結構なコンプレックスであり、悩んでいたときもあった。自分で言うのもあれだが、天満に通い出してから私も人情味のある人間になったような気がする。一緒のお店で飲んでいる人と喋ることに対して苦手意識はもう持っていないので、例えば誰かがトイレに立った時に物を落としたりすると、「これ落ちましたよ」と瞬く間に話しかける。それを見ていた同行者が「大阪っぽいね」と私に言ったりすると、恥ずかしい反面、嬉しかったりもする。自分がやっと大阪の人間になることができたように感じて。

 

まとめ

このような人情味や魅力が詰まった天満の飲食店も、今はコロナ禍でとても大変だ。

馴染みのお店が潰れないようにできる範囲で通うことが、私ができる唯一のことである。

いつコロナが収束するかは誰にもわからないが、また、お店にいる人たちででくだらないことを喋ったり、世間話をしたい。天満の魅力を失いたくない。

それが私の望みだ。

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