バイクと歩む人生

ケン太郎

自分の人生の中でこれほどまでに熱くなったことは無かった。

そう言い切れるほど自分は趣味というものを持っていなかった。

「バイク」この存在が自分の人生を大きく変えてくれた。

いくつかの機会がうまいこと嚙み合って私は素晴らしいバイク人生を歩んでいる、心の底から私はそう思う。

 

昔からバイクに興味はあったが、あくまでアニメやドラマで見てカッコいいと思う程度で

本気で乗りたいとは思っていなかった。

友人たちとなんとなく集まってゲームして帰る、こんなことばかりしていた。

振り返ってみると本当にそんなことをしていたくらいで、これが自分の趣味だなんてものは欠片もなかった。

ただ学校に行って友人と遊んで帰る、この繰り返しを続けていた学生生活だったが一つの出会いがあった。

今でこそスマホを所持している人のほとんどが利用している動画サイトだが、

まだスマホが普及し始めたぐらいのころに私は一つの動画を見つけた。

 

バイクの動画だったが、一般的な企業の作るプロモーションビデオなどではなく

素人がヘルメットやハンドルにカメラを付けて撮る車載動画と言われているものだった。

冒頭部分はバイクの写真を使った紹介映像で5分ほど見ていると実際に走っているところを映した映像になった。

このバイクに乗っている人の視点での映像に私は強く惹かれた。

特撮の仮面ライダーなどで遠くからバイクを見ることはあってもバイクに乗った視点は初めてだった。

この日から私の心にバイクが居座ることになった。

映像で紹介されていたバイクを調べ、カラーリングの種類を見たり年式で形が変わることなどを知っていった。

 

しかしこの時にはカッコいいという思いが強いだけであり、乗ることに関してはうっすらとしか考えていなかった。

その後、高校卒業前に自動車の免許を取得し原付の運転ができるようになったときに

兄のスクーターを借りて乗っていたが徐々に自分のバイクが欲しくなっていた。

だが車の免許しかない状態で乗れるのは50ccの原付に限られてしまう、そんなときに私はあるバイクを見つけた。

「ホンダ スーパーカブ50」

スクーターなどはATでアクセルを捻るだけで進んでくれるが、スーパーカブは変速もしなければいけない。

しかし、クラッチがないので扱いはATであり普通自動車免許で乗れるのである。

私はそこに目を付けバイトしたお金でスーパーカブを購入したのだ。

 

それからは本当にいろいろなところに出かけた。

岐阜の各務原に行ったり、大阪まで夜通し走ったりと随分と無茶をしたが本当に楽しかった。

大阪に行ったときは初めて遠くに行くこともあり、ガソリンの残量を常に気を付けていたことを

よく覚えている。

そんなスーパーカブで遊んでいたある日、私がバイクに乗ることになった大きな出会いがあった。

 

それはインターネット上で書かれていた一つの物語だった。

バイクに興味を持った青年が友人のバイク乗り達に助言をもらいながら免許を取得し、

最後には北海道までバイクで旅行するという内容の物語だった。

話が大変面白くすらすらと読めてしまうものだったが、私にとってはバイク人生における説明書のようなものに感じられた。

免許のとり方、バイクの種類、バイクに乗るとき何が必要かなど詳しく書かれていたため本当に勉強になった。

この物語のおかげで私は免許を取ることを決心したのだが、ここで一つうれしい誤算があった。

 

なんと父親がバイクを所有していて、さらに免許を取れば乗っていいと言ってくれた。

確かに記憶の片隅にバイクがあったことは覚えていたのだがまさか乗っていいといわれるとは夢にも思っていなかった。

しかし父親のバイクは750ccなので大型自動二輪免許が必要になってしまう。

だがここで怖気ついてはいかんと思い、最初から大型免許で申し込みをした。

不安はあったがカブに乗っていたこともあり、ギアチェンジに少し戸惑っただけで各項目も合格し

最後の検定も合格できた。

 

よく覚えているが、クリスマスの12月25日に平針試験場までカブで行き免許を更新した。

雪こそ降らなかったが非常に寒くバイクには厳しい日だった。

前日の夜から準備をし、場所とルートを確認、スマホをナビ代わりにして朝から出発したが

免許を貰うまでは時間の流れがとても長く感じた。

 

そうして免許を無事に取得した次の日の26日に、人生で初めてバイクに跨った。

あの時の興奮は今でも思い出せる。

父親に細かい乗り方を教えてもらい近くのお寺まで走ったが本当に楽しかった。

最初こそ恐る恐る走っていたが、10分もすれば楽しめる余裕ができていた。

アクセルを捻った時の排気音、股下のエンジンから感じる鼓動、

すべてが体の芯に伝わってきてしびれるほど高揚した。

最初の1週間は1時間ほどで帰宅したが、時がたつにつれどんどん帰宅時間は遅くなっていった。

何度も親に遅いと叱られたものだ。

 

こうして始まった自分のバイク人生だったが、気づけば5年も経っていた。

この5年の間で北は北海道、南は山口県までバイクで旅ができし多くの友人にも恵まれた。

どの旅でもそこでしかできない貴重な体験を数多く味わうことができた。

同じ車種に乗ってるからと仲良くしてくれた人や、

バイクがきっかけで4年ぶりに高校の時のクラスメイトと再会してもう一度仲良くなったりもした。

 

この長い人生の中で父のバイクに乗れたことは大変な幸運だと思う。

この幸運をかみしめ、これからも人生の傍にバイクを置いて歩んでいこうと思う。

 

私はバイクが好きだ。

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ケン太郎

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